房総釣り師の釣行記 船釣り タイトル

船釣りあれこれ 魚の〆方:野〆について


私は魚を釣ったら即、「〆(しめ)」ます。活かして持って帰る人もいるようですが、それにはブク(酸素供給)付の容器が必要になりますし、活かして帰る必要のある「食べ方」といえば、マゴチかスズキの「洗い」くらいでしょう。ヒラメも「活けヒラメ」ってこともあるでしょうけど、手間がかかりますし、「洗い」程の料理的な違いはありません。「洗い(魚が死後硬直を起こす前に捌いた身を氷で〆る)」も食べてはみたいのですけど、釣り場が目の前にあって時間をかけずに家に帰れるならやって見るかもしれませんが、ちょっと厳しい…。

で、私はとにかく「即〆主義」です。これを「活け〆」といったり「野〆」といったりしますが、意味は同じなのですけど、例えば「活け越し」とか「あがり」とか、似て非なる場合にも「活け〆」「野〆」という言葉が使われる場合があるようです。「活け越し」とは輸送中の魚を絶食させる事、「あがり」とは漁獲時に既に魚が死んでいる事を指すようです。ですから、ここでは「釣り上げた魚を即〆る」という意味で単純に「〆」「野〆」という表現を取ります。

では、何故「野〆」をするのか。その理由は、「魚の美味しさ」を維持するためです。別の表現でいえば「釣った時の新鮮な状態を維持する」ためです。釣った魚を桶の中で泳がせておく方が多いのですけど、狭い桶の中で魚はストレス状態になり、苦しんでいる状態になります。すると、魚の中に疲労物質がたまったり、グルタミン酸と一緒になって旨味となるイノシン酸を作るアデノシン3リン酸(ATP)が消費されてしまいます。「即〆」れば、それを防げます。特に難しい事はありませんので、オススメします。マグロを釣り上げた時に、銛で頭を一撃したり、電気ショックで失神させるのは、暴れさせると「身が焼ける」と表現されますが、要は味が落ちてしまうからだそうです。
<〆方の種類>
魚の〆方にはいくつかのやり方があります。魚によって変わってきますが、大きく分けると次の4つの方法でしょうか。
「氷〆」「エラ抜き(切り)」「頸椎(首)切り&神経〆」「急所突き」

では、魚種別の〆方について、ご参考までにまとめてみます。

「氷〆」
氷〆
【対象魚:キス、カサゴ、メバル、マハタ、オニカサゴ、ホウボウ、タチウオなど】
〆方では最も簡単な方法です。氷をクーラーに入れて、ポイントに着いたら海水をクーラーの中に入れて冷やしておきます。そんなにザブザブと海水を入れる必要はありません。釣る魚が浸るくらいの量で充分です。魚が釣れたら一度「桶」で泳がせて、胃の中のものを吐かせます。特にカサゴ類ハタ類、あとホウボウもですが、桶の中でそれまでに食べたもの(小魚やカニなど)を吐き出します。目安としては20分くらいですかね。そうしたらクーラーの中へ。キスやタチウオなどはそのまま即クーラーの中へ。タチウオは歯が鋭いですから、絶対に口の辺りを触らないように。血だらけになります。

これらの魚は比較的「血が身に回りにくい」ので、特に血抜きの必要はなく、クーラーの中で冷えていただけば低温で〆られます。オニカサゴは非常に生命力の強い魚ですから、氷で〆ても、家に持ち帰ってまだ動いている場合がありますから注意してください。念のため今少しクーラーの中にいてもらうとか。首の骨を断ち切ってもいいのですが、その時に毒針に刺される事もありますから。

「エラ抜き(切り)」
エラ抜き(切り)
【対象魚:アジ、イサキ、イナダ(ワラサ、ヒラマサ)、ショゴ(カンパチ)、サバ、キントキなど】
いわゆる「青物」と呼ばれる魚が中心ですが、アジ、イサキなどはエラ蓋から指を突っ込んでエラを引きちぎるようにすれば簡単です。特にイナダ(ワラサ、ヒラマサ)、ショゴ(カンパチ)などは海のスプリンターで血液の量も多く、エラも頑丈です。これはエラ蓋からハサミを突っ込んで、エラをチョンぎってください。私は中型のハサミを用意しています。キントキも血の量が多い魚です。肝を美味しくいただくためにもエラを切って血抜きしましょう。エラを切ったら桶の中に入れて、十分に放血させてからクーラーの中へ。目安は、桶の中の水が澄んでくれば、血は抜けています。

人から聞いた話ですけど、船長の中にはこの放血で出た魚の血が「サメ」を呼んでしまうと言って嫌う方がいますけど、どちらかといえば少数派です。もし、そんな船に乗ってしまったら、船長と言いあっても仕方がないので即、クーラーの中で「氷〆」してください。身に血が回るのをある程度防げます。ちなみに、私はその考えに疑問を持っています。サメはどうしようがどこにでも現れますし、例えば、漁師はマグロを釣り上げると即、マグロの食味を落とさないようにエラを全て取ってしまいます。その血は海へ流れます。マグロ漁とて、サメがいる中で行われますから。

サバの場合は、俗にいう「サバ折り」です。サバは中々に生命力の強い魚ですので頭を背中側にエイヤッと折りましょう。これは「頸椎」を折って〆るわけですが、それだけだと血が抜けません。エラを切りましょう。私は最初これが苦手だったのですが、その美味さを知ったら平気でボキボキといけるようになりました。「食べ物」ですから、「頂きます」です。ちなみに私はサバ特有の青臭さを抑えるために頭と内臓も取って、その場で開きの状態にしてしまいます。慣れると簡単です。

「エラ抜き(切り)」追加
エラ抜き(切り)追加
【対象魚:イシモチ、カワハギ、ウマヅラ】
「放血させる」という事では同じなのですが、イシモチはエラからの放血だけでは十分に血が抜けません。イシモチを「生臭い魚」という方は、この放血を十分にやっていないのでないでしょうか。この魚の場合は、頭の裏側というかエラ蓋の付け根を切ってそこに見える赤い「玉」のような心臓も切って放血させてください。慣れると場所はすぐに分かるのですが、兄弟サイトの「お魚料理」のイシモチのページに若干説明してありますのでご参考までに。

それから、カワハギとウマズラなのですが、これはエラが小さいので切り難い。この場合は、ナイフをエラ蓋にエイヤッと突っ込んでください。コツは頭の先方向に斜めに刺す事です。両側のエラ蓋を同じように刺してください。私はこれを「X(エックス)〆」と呼んでいますが、イメージできますでしょうか。そして、桶の中で十分に放血させてクーラーに仕舞ってください。

「頸椎(首)切り&神経〆」
頸椎(首)切り&神経〆
【対象魚:ヒラメ、マゴチ(ワニゴチ)、スズキなど】
マゴチは活きたまま持ち帰り、「洗い」を楽しまれる方もいらっしゃると思いますが、私は即〆で「刺身」専門です。ちなみに、刺身はその日ではなく、翌日に食べるのが美味しくいただくコツです。全然旨味が違ってきますから。マゴチや型の良いワニゴチが釣れたら、即、首にナイフを入れて頸椎を切断します。けっこう硬い骨なのですが慣れると簡単です。船でのマゴチ、ヒラメ、スズキは仕舞いまで桶か生簀で活かしておいて〆ます。全て、クビの頸椎をナイフで切って〆ます。大物に備えて少し頑丈なナイフを持っておきましょう(オススメは包丁なんですけど、携帯性が…)。半端なナイフでは上手く一発で切れなくて、手を怪我する事もあります(ハイ、それは私です…)。

頸椎(首の骨)を切ったら、エラも切って、桶かクーラーの中に貯めた海水で放血させてください。ヒラメで大物の場合は尻尾辺りも切って、より完全に血が抜けるようにします。マゴチやスズキの頸椎を斬る時に絶対素手で頭などを押さえないよう。タオルか軍手を使ってください。鰓の所に鋭い棘がありますから怪我をします(ハイ、それは私です…)。

神経締めというのは皆がやる訳ではありません。一部の「通」の方か、本職の板前さんがやります。切った頸椎の中に「髄」がありますが、ここにピアノ線のように細いワイヤーを刺し込んで「とどめ」の〆を行う事です。こうやると、完全に絶命するそうです。やって見るとけっこう難しいですよ。

「急所突き」
急所突き
【対象魚:マダイ、ハナダイ、レンコダイ、ヤリイカ、アオリイカ、コウイカ、タコなど】
どんな生物でも「急所」は持っています。そこがハッキリしているものは、そこで〆ると簡単です。まずマダイやハナダイですけど、目の後ろを触って、少し窪んだように柔らかい所があります。そこが急所です。上手い人はピックのような針状のものでも上手くつけるようですけど、ナイフでやるのが無難です。そこを一突きすれば、ほぼ絶命させることができます。その瞬間マダイが体を反らせて痙攣すれば急所に入っています。後はエラを切って桶の中で放血させたらクーラーの中に。これは、タイの仲間に共通の急所です。私は、アマダイやカイワリの時でもこの急所で〆ます。

イカの場合は「目と目」の間に急所があります。ヤリイカもアオリイカも、他のイカも同じです。タコも同じ場所に急所があります。イカの場合は〆ると体色が白くなります。ただ、そこが急所ではあるのですけど「神経」が二系統になっているらしく、上手く〆ないと身体の右か左半分が白くなります。市販の「イカピッカー」というイカ〆用具がありますが、ナイフでも慣れると上手く〆られます。あと、もっと慣れた人は外套膜の隙間から指を入れて、イカの神経を切ってしまうそうですが、私はやった事がありません。簡単だそうですけど…。

以上のやり方はあくまでも「ご参考」です。人によっては違う「〆方」をされている場合もあります。私は上記のようなやり方で十ン年、船釣りの魚を美味しくいただいてきました。中には、「〆方でそんなに魚の味は変わらない」という方もいらっしゃいます。これは好みだと思います。

また、船長がオススメの〆方もあると思いますので、美味しい食べ方を是非、聞いてみてください。私が「魚は〆ると美味くなる」と思ったのは、カワハギとアジが最初です。カワハギのX〆をやると、肝から血生臭さが取れて誠に美味い! アジは大量に釣れると少し大変ですが、これまた美味くまります! 基本は「即〆して、放血させ、冷やす」です。

せっかくの自然が作ってくれた味です。少しでも美味しくいただきましょう!

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