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房総釣り師の釣行記 船釣り タイトル

オニカサゴ釣り編 その4「釣れて嬉しい、悩ましい…」



オニカサゴ
オニカサゴ釣りに必死になっていた時期があります。理由は第一に美味い事!毒針の危険を顧みず、この魚を狙うのは、釣るしか食べる事が出来ないからです。魚屋や、都心の料理屋でこのオニカサゴを見た事はありません。根にいる魚だから網などは使えないし、ピンポイントでしか狙えないのでそれほど大量には取れないから、漁師にとっても、いくら高級魚とはいえ採算が合わないのでしょう。これが少しでも宙層に浮いてくる魚だったら、網で取られて絶滅の危機かも。

これはある船宿の船長から聞いた話ですが、初めてオニカサゴを釣って食した方がその美味さに感動して泣いて、宿に電話してきたとか。確かに、それだけうまい魚だと思います。40cm育つまでに20年かかるらしい魚ですから、半端な身体では無いでしょう。学者の研究によると、1ヶ月間餌を与えなくても生存可能な身体を持っているそうです。驚異的な生命力で中深場にジッと姿を潜めて生きているわけです。

色々な魚を釣って食しますが、このオニカサゴを食す時だけは特別な感慨があります。その美味さに涙した方もそうした、この魚の持つ一種独特の神々しさに感応されたのではないしょうか。しかし、どうしてこんなに美味しく生まれてしまったのでしょうかね。あの面構えと毒針で、あまり美味でなければ、釣り師から狙われる事も無かったでしょう。類人猿が霊長類となり得て繁栄したのも、人間という生き物が不味いからではないでしょうか(実際不味いらしいです。喰った事ないけど)。確かに、人間がもし美味しい生き物だったら、食われまくってこれだけの個体数を保てなかったでしょう。

何となく真面目に考えてしまいましたが、オニカサゴは、私の釣りものの中で一番ボウズの確率が高い魚でした。今では何とか一匹くらいは釣りあげて帰る確率も高くなりましたが、最初のころは定番外道のユメカサゴとドンコをクーラーに詰めて帰路につく事が多かった…。まあ、ユメカサゴは美味いし、おかげでドンコも美味い事に気付きましたが。

オニ簾ところがです、また湾奥の船からオニ狙いに出たある日、なんと自己新記録の8匹を釣ってしまいました。私の隣の人は1匹だったと記憶しています。それほど船中大釣りの日ではなく、何故か私の所に来てしまう。当然竿頭ですし、この美味しい魚を数日堪能できる事は嬉しかったのですが、その時はどうにも微妙に心に引っかかるものがありまして…。もちろん釣っている最中は面白くて、夢中でしたが…。

その引っかかりの一つは、何で釣れたのか、運以外に理由が見当たらない事ですかね。「ありゃ、釣れた…」で「よし、釣った!」って感じがしない。贅沢な事ですが。釣る人はもっとたくさん釣るのでしょうが、私にとっては望外の事。仕掛けも餌もいつもと同じ。特餌は使っていません。アナゴやアオリイカの場合は潮の加減で船中特定の人に釣果が集中するのは珍しくない事ですが、オニカサゴでそういう事があるとは…。26Lのクーラーがオニで真っ赤です。カッコつけて言えば、オニはもっとストイックな釣りであるべきという妙な信念がありました。置き竿ではやらない。ひたすら竿先のアタリに神経を集中して、ボウズは当たり前…、と。

もう一つの引っかかりは、釣れたオニのサイズを合計すると、仮に35cm平均だとしても280cm。それだけ育つには140年…。ここなんですよ、一番引っかかるのは。140年。単なる計算上の事とは言え、気が遠くなるような歳月…。

私はオニカサゴの毒針を船上では切りません。即、氷〆して、家に帰ってから毒針の処理をします。理由は、ある船長から、「生きているうちに針を切るとオニカサゴが弱って不味くなる。その毒があるから美味いんだよ」と聞いたからです。で、家で1匹づつ毒針を処理しながら、ふと手を合わせたいような気持になりました。釣っておいてこう言うのもなんですが、8匹も来なくていいのに。笑われそうな事を書きますが、その時は本当にそう思いました。その日のオニカサゴはいつも通り美味かったのですけど、ふと、先に書いた「美味しさに涙した」方の事を思い出しました。頂きますとはまさに「命をいただきます」ということですね。

感傷に過ぎるのかもしれません。その後、それほど大釣りする事はありませんでしたが、せめて4匹、あとは竿を仕舞おうと決めました。幸い、以後それ以上釣れる事も無かったので、実際に竿を仕舞う事はありませんでしたが、もしまた大釣りしたら…、どうするんだよ俺。きっと、釣っちゃうだろうなあ。

今まで釣りをしてきて、何とも複雑な思いの釣行でした。でも、オニカサゴは美味しい…。 

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