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房総釣り師の釣行記 船釣り タイトル

オニカサゴ釣り編 その5「海の怖さを知ってこそ、の楽しい釣りです…」



オニカサゴ
この話は魚が釣れたとか釣れないとかいった話ではありません。海の怖さ、とでも言えばいいのか…。釣りものはオニカサゴでしたのでこの編に入れますが、オニカサゴとの勝負を書くわけではありません。結果から言いますとオニカサゴは2匹、まあまあの型が釣れました。ユメカサゴやドンコなどの定番お約束の外道も。釣果としては満足でした。

釣り場は東京湾。船はいつもの湾奥の黄色いやつ。その日は天気も良く海況も穏やかでした。例によって人気の釣りものですからお客さんも一杯。ごく普通にごく普通のオニカサゴ釣りを楽しんでいました。

釣り始めから2時間くらい経ったころでしょうか。アタリも無いままに竿先が引き込まれました。「ありゃ、根掛かりかよ」。竿先を緩めたり張ったりして根掛りを外そうとしますが、何か変です。竿を張った時にフワフワとした感じが手に伝わってきます。「ん?…、でかいゴミか?」。竿先を上げてリールを巻くと、巻けます。しかし、お魚さんの生命反応は無し。しかも、重い。

何だか分かりませんが上げるしかありません。重いのですが、一応電動は動きます。竿が満月なので周りの釣り師が「デカイ?!」と聞いてきますが、「いや、なんか重いものが引っかかったみたい」と自ら首を傾げるしかありません。「何だろ…?」。もしドでかい海藻を根ごと引き抜いたのならその手応えがあるはずだし、枝や葉の抵抗で、多少水中で動きます。岩を上げたのだとしたら、竿を下げた時、重みでストンと落ちます。120mの底から、とにかくゆっくりと重くフワフワしたような感覚で上がってきます。

「でかいサメの死骸でも引っかけたかな…」。東京湾で、そんな感覚のものはそれくらいしか思いつきません。竿はまるで大物を釣った時のように曲がっています。が、何の動きもありません。竿を傷めたくないのでデッドスローで上げてきます。何かのゴミだとしても、ここまで集まってひと固まりになるかよ…。だんだんと、嫌な予感がしてきました。「まさかな…」。その時隣の釣り師がポツリと「仏さんかな…」。やめてっ! それだけは勘弁!

気分が悪くなって、道糸を途中から切ろうかと考えていると、船長が来ました。「ちょっと、リール止めて」、と一言で、道糸に手をかけ、何かしら感触を探っているような仕草。そして、丸い糸巻き(根掛り外し)に道糸を数度グルグルと巻いて、エイヤッ! ってな感じで仕掛けを切ろうとします。2度くらいで仕掛けが切れました。天秤と錘は無事なようです。船長、「上げちゃって」と言って操舵室に戻ろうとします。私、冗談半分ですが思わず「まさか、仏さん…、てなことは無いですよね」、と聞いちゃいました。船長、振り返りもせずにそのまま操舵室に。

だから、何なんだよ…? 思わず隣の釣り師と顔を見合わせました。上げてみた方が良かったのか、これで良かったのか。いずれにしても狙っているお魚さんじゃないのは確かなので、仕掛けをつけ直して、釣り再開。どうにも気になります。何なんだよ…、あれ? まあ、忘れることにしましたが、どうにも気になる。リアリティのある「怖さ」とでも云えばいいのか…。

と言いますのは、その数ヶ月くらい前だったと思いますが、太刀魚狙いでその宿に行った時、船宿は開いているのですが、桟橋の門が閉じられたままで、数人のお客さんが船宿の中で大船長と話をしていました。「???」。私も宿に入って話を聞いてみると、今日は臨時休業とのこと。理由を尋ねると、大船長は曇った顔。前日、その宿の仕立て船で人が一人、海に落ちて行方不明になったそうで。同乗者の誰も人が落ちたことに気が付かなかったそうです。12人で出船して、帰ってきたら11人に…。たまたまその翌日に私が宿に行ったという事です。警察への対応もあるでしょうから、(気分的にも)臨時休業は仕方なし…。

艫が、さらに話を聞いてゾッとしたのは、その事故のあった船は、よく私がメバルで乗っていた船で、落ちた人は、私がいつも席取りする左舷の艫からという事…。艫は死角になりやすい位置です。他の船宿は開いていましたが、もう釣りをする気も無くなり、帰宅…。その、海に落ちた方は二週間後に本牧辺りで見つかったそうです。もちろん、仏さんで…。まだ二十代の若い男性の方だったそうで、ライフジャケットは付けていなかったとの事。釣りをしながら、けっこう缶ビールを飲んでいたとか…。酔っぱらって落ちたとしたら、なんと海の怖さを軽んじていたのか、と思わざるを得ません。仕立てなのに、仲間が誰も気が付かなかったというのも、何という不幸。

その当時はまだライフジャケットを付けている人が少なく、その数年後に遊漁法が改正されて、ライフジャケットの着用が厳格に義務付け(それまでも義務付けされていたのですが)され、非着用の場合は船長への罰則規定が設けられたと記憶しています。

先の釣りで嫌な感じが途中でし始めたのは、この事を思い出したからです。まあ、結局は何だか分からなかった訳ですけど、船でお酒を飲んだり(私もお酒は大好きですが、釣りやゴルフでお酒は飲みません。危ないから)、船が移動中に立っている人を見かけます。リゾート気分の軽装の人も。海は怖いんですよ。船宿は出来るだけ釣り人に気分良く楽しんでもらうために、色々気を使ってくれます。しかし、そのサービスに慣れて、守るべきものをおろそかにしていると危険に対して鈍感になるように思います。日常生活にしてもそうでしょうね。なんか説教臭い話しになってしまいましたが、「釣りの楽しさは、海の怖さと隣り合わせ」。

つくづくとそれを思い知らされる出来事でした。

あまり楽しい話でなくてすいません。しかし、どうしてもこれは書かざるを得なかったものですから…。 


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